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清水均のフードビジネス短信

第5回 MOTとウルトラ・ラグジュアリーホテルのサービス

以前のコラム(2007年度第1回「MOT(真実の瞬間)とサービス その1」)でも紹介しましたが、MOTとは、“Moments of truth”を省略したもので、日本では、「真実の瞬間」と訳されます。

そのエッセンスは、「顧客にサービスを提供する現場の従業員の最初の15秒間の接客態度が、企業の成功を左右する」ということです。具体例を挙げるとこうなります。お客様があるレストランに来店しました。入店した際の従業員の対応(初めの15秒間の接客態度)次第で、そのレストランの評価(印象)が決定してしまうのです。そして、最終的にそのレストランを経営する企業の評価にもそれは波及するという意味です。

今回は、このMOTの秀逸な事例として、ウルトラ・ラグジュアリーホテルのサービスを紹介します。

ここ数年の間に、都内には、国際レベルの外資系一流ホテルが競ってオープンし、サービス競争が激化しています。その中で、20年を経てなお超一流の評価を継続し、確保しているのが、銀座にあるホテルSです。その核心は、居心地の良さと洗練されたエレガンスなサービスのバランスにあります。また、それらのサービスは、顧客接点におけるMOTに集約されています。

入り口でページボーイが出迎えてくるのですが、気さくで明るく爽やかな挨拶がスマイルとアイコンタクトと共になされます。案内されたレセプションには、重厚なデスクの前に椅子がハの字型に設置されており、着席してチェックインがなされます。担当者(コンシェルジェ)の丁寧な応対の後、その担当者が荷物を持って客室まで案内するのです。通常は客室係に引き継ぎますが、このホテルではサービスが途切れないため、安心感があります。

客室に通され、しばらくすると、絶妙のタイミングでその客室担当のモーニングを着用したバトラーが、挨拶とウェルカムドリンクを聞きに来ます。バトラーはイギリス発祥の執事のことであり、お客様の要望に応え、身の回りの世話をしてくれます。このバトラーサービスを日本で初めて、しかも全館(77室)で導入しているのはここだけです。全室45平米を越える客室内には、着心地のよい特製コットンの部屋着が用意されています。バスルームにはアメニティグッズがありません。このクラスのホテルに泊まるお客様には、お仕着せのシャンプーや化粧品はかえって失礼との配慮からです。

出掛ける際に、ページボーイの一人に、「アルバイトでしょ。暑いのに大変だね。頑張って!」と声を掛けました。すると、翌日の帰り際に、「お早うございます。昨日いただいた言葉を励みに頑張りました。ありがとうございます。」と即応されました。その素晴らしい対応に、どうやって教育されているのかと尋ねると、「上司に恵まれておりまして・・・」と素直に嫌み無く応えられ、さらに感激しました。チェックアウトまでレベルの高いMOTでした。

控えめでありながら、お客様からのご要望には即応できる距離感のあるサービスが印象的でした。昨今、一部のレストランや居酒屋でサービスの良さが話題になります。しかし、サービス担当者の、これでもかといったパフォーマンスや押しつけ的な行きすぎたサービスもあり、個別対応を履き違えていることも多いものです。業態によっては、自店のあるべきMOTと控えめな本物のサービスを磨く必要があるようです。

  • フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均
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