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清水均のフードビジネス短信

第9回 求められるワーク・ライフ・バランスと労務管理-その1-(2回連載)

ワーク・ライフ・バランスとは、『仕事と生活の調和』のことだ。ライフステージの移動に伴い、仕事だけに偏重せず、家族との時間や自分の時間を大切にする。さらに地域社会やボランティアといった、社会貢献などへの時間も大切にして調和をとる必要がある。

「クオリティオブライフ(QOL)=生活の質」という言葉もある。個人の価値観を通し、人間らしい望み通りの生活を送るという意味であり、ワーク・ライフ・バランスの本質といってもよい。

「すかいらーく3,300人に残業代」、「管理職が社員の73%→6%」といった見出しが、今年8月7日の日本経済新聞に掲載された。店長など約3,300人を管理職から外し、残業代の支給を始めている。その結果、すかいらーく(グループ会社除く)の社員に占める管理職の割合が激減し、見出しの数値になったという。要するに、すかいらーくの店長は、いわゆる「名ばかり管理職」であり、法律上の「管理監督者」に該当しないという判断を企業自身が認めたのだ。昨年の9月、厚生労働省が出した『管理者が管理監督者に該当しない場合の通達』を踏まえての判断である。ワタミでも、今年の4月から、すかいらーくと同様の判断で残業代を支給している。

この通達の発端となったのは、日本マクドナルドの直営店の店長が、2005年12月に東京地方裁判所に残業代を請求した訴訟である。その店長は、連続60日以上の勤務や月130時間以上にもなる長時間労働の中で、体調をこわし、部下も削減される中で家族との生活も満足にできない状況だった。その結果、店長は管理監督職ではないとされ、約503万円の時間外、休日労働手当の支給、約251万円の付加金の支払いを命じられたのだ。

フードサービス業を天職と信じ、外食業界に入る若者は多い。しかし、店長業務を経験する中で、その大半はワーク・ライフ・バランスに疑問を感じていることも事実である。結婚して幼児がいれば、妻の心労も多く、そのはけ口は仕事熱心な夫に向かう。その結果、精神面での葛藤が生じ、家庭不和など悪循環を繰り返すことが多い。

今回のすかいらーくに象徴される店長職に対する対応は、今後確実に年商20億円を超える伸び盛りの外食企業の経営者に求められる判断である。成長を目指すなら、ワーク・ライフ・バランスを前提とした、労務管理を早急に真剣に取り組む必要がある。

食事時間や夜の時間帯が主体となる外食業界は、今後も1日当たりの拘束時間が短縮される可能性は少ない。とは言っても、恒常的な人手不足の中で、残業時間の増加は避けて通ることのできない問題でもある。
―次回につづく-

  • フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均
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