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清水均のフードビジネス短信

第9回 求められるワーク・ライフ・バランスと労務管理-その2-(2回連載)

それでは、どうしたらワーク・ライフ・バランスを前提とした、労務管理が可能となるのかを考えてみたい。『守り』として考えられるのは、店舗作業の効率化である。具体的には、メニュー数の削減により、店内での仕込みや調理などの種類を削減することである。また、トヨタの改善運動のように、作業動線を見直し、物の配置や商品提供の効率化を目指すことである。吉野家では、牛丼の低価格販売を実施する際、全ての作業を見直した。例えば、カウンター内に小さなサイドテーブルを設置し、動線を短縮して人件費の削減を果たしている。これらは、主にチェーンシステムを採用している外食企業の手法である。

しかし、今後重要視されるべきは、『攻め』の戦略である。少子高齢化が進行する中で、顧客の絶対数の減少は避けて通ることはできない。また、オーバーストア状態となっている先行き不安な状況の中で、固定客の来店頻度は落ち、1店舗当たりの顧客数は激減している。この傾向も急激に改善される気配はない。このような状況下で、どう攻めるのか。結論は、「客単価」を可能な限り上げることである。「売上高=客数×客単価」となるが、最悪でも損益分岐点客数を維持できる範囲で客単価を上げる努力を続けるという意味だ。逆に言えば、損益分岐点売上高を維持するため、客単価を上げることで客数の減少による売上高の減少を食い止めるのだ。

損益分岐点グラフ

損益分岐点グラフ
※清水 均著「フードサービス攻めの計数」商業界発行より引用

客単価が高いことが問題ではない。客単価に見合った商品が出ているかが問題である。もちろん、業態と店格(店の品格)によって、適正な客単価の範囲(上限)はある。しかし、その中でできるだけ客単価を上げることである。例えば、蕎麦屋や鰻屋が好例だ。せいろ1枚が400円しか取れない店があれば、堂々と650円取っても利用客が絶えない店がある。高額な鰻重でさえ、2,800円しか取ることができない店があれば、4,900円取っても固定客がついている店がある。

確かに、高額な料金を取る店では、食材にこだわり、調理レベルも高く、盛り付けや使用する器も高級な物を使用している。また、それなりの店格もあることが多い。しかし、手間(人件費)は同じである。客単価の取れる店と取れない店の最も大きな違い、それは『美味しさ』につきる。お金を取られても、納得させられる商品力が本質としてあるのだ。

労務管理とワーク・ライフ・バランスを考えるなら、業態的に圧倒的に有利なのは、(高級)専門店である。原則として営業時間も短く、週休制が多い。宇都宮や亀戸にある餃子専門店では、高単価ではなくても、これらのバランスをしっかりと押さえている。こういった特殊な商品による専門店化も飲食ならではの一つの方向である。

  • フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均
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