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清水均のフードビジネス短信

第12回 ホスピタリティとフードサービス業

米国には、ホスピタリティビジネスというビジネスの分類があります。フードサービスやホテル、エアーライン(旅客機)やシーライン(旅客船)、リゾートクラブやテーマパークなど、施設や設備を使用してお客様を心からもてなすビジネスのことです。これらは、ヒューマンインダストリー(人間の産業)やピープルビジネスと呼ばれることもあります。

景気低迷とオーバーストアの中で、『商品・サービスの品質』と『心の豊かさや安らぎ』を求める時代になりました。その結果、「サービスの質」が他社との競争の決め手になります。その本質にあるのは、それぞれの企業の「働く人の質」の競争です。お客様の喜びを自分の喜びとできる人。同時に、他人のさまざまな苦しみや痛みまでも、その人の立場になって察知したり、分かち合うことのできる人が、従業員にどれだけ多くいるかが大切なのです。この誰もが持っている「ホスピタリティの心」をどれだけ多く引き出し、行動に結びつけることができるかは、今後の企業の重要な能力開発のテーマです。

実際、自動車業界など国際的な先進企業の多くがホスピタリティを重要な経営戦略の一つに挙げています。官公庁や病院でも、改めてその重要性が問われています。このように、ホスピタリティは今後、『企業文化(注※)の礎』となるものです。

ホスピタリティが企業文化にまで高められると、社外(お客様)だけでなく、社内のコミュニケーションを円滑にしてチームワークを育み、仕事にコンビネーションが発揮されるようになります。その結果、単なる顧客満足(カスタマー・サティスファクション)をお客様一人ひとりに対する個客満足(パーソナル・サティスファクション)へと高めることが可能となるのです。それは、ホスピタリティを通して、お客様の感動や感激が生まれる機会が増加するからです。また、その喜びを従業員が共有し、共感することで、「明るく・楽しく・やりがい・ふれあい」に溢れた職場環境が醸成されます。

このように、フードサービス業は、ホスピタリティのある人にとり、サービスや調理を通して仲間と共に自己実現に結びつけることができる、素晴らしいヒューマンインダストリーなのです。

企業文化---企業の構成員によって共有・伝承されている価値観・行動規範・信念の集合体(広辞苑より引用)

フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均

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