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清水均のフードビジネス短信

第14回 緊急提言!!食の「エデュテイメント」を構築せよ その5(5回連載)

脅威の食後酒売上「ロウリーズ・ザ・プライムリブ東京」

ロウリーズ東京店では、米国ロウリーズならではのサービスを徹底しているだけではない。さらに日本独自にワゴンサービスを開発し、驚異の売上高を達成しているのだ。それが「食後酒のワゴンサービス」である。ワゴンの面積は、サービス担当者を入れても、一畳分の0.5坪程度である。これで平均売上高は月間250万円(年間3千万円)なので、月間坪当たり売上高は500万円ということになる。新宿の駅ビルなどに入っている、超繁盛飲食店の月間坪当たり売上高でさえ100万円前後であるから、この売上高は驚異に値する。日本有数の一流ホテルのバーでも、食後酒だけでこの売上高は達成できない。

この立役者が、写真の「ジョージさん」こと、アモア・ジョージ・クアク氏(以降、ジョージ)である。

アモア・ジョージ・クアク氏
アモア・ジョージ・クアク氏

これを可能としているのは、トータルコーディネートされた一連のロウリーズ東京店としての雰囲気。A社員(アルバイト)各自の人間力とチームワークが生み出すサービスのコンビネーション。そして、ジョージあっての売上高である。食後酒の知識とサンブーカ(イタリア産リキュール)に炎を点火し、提供するといったワゴンサービスもさることながら、その日本語は流暢で、ユーモアに溢れ、ゲストに合わせて程良くくだけた感じに使い分けることもできる。

海外に行くフライトで、ビジネスクラス以上の食事は、通常シャンパンなどの食前酒から始まり、コースとして提供される。メインディッシュと共に、食中にワインを飲むことはあっても、その後に出されるチーズに合わせ、ブランデー以外に、各種リキュールやグラッパといった食後酒を本格的に楽しむ日本人客は、ごく稀である。ところが、ロウリーズ東京店では、ジョージの勧め方のうまさと楽しい会話がきっかけで、食後酒に興味がわき、大半のゲストがオーダーしてしまうのだ。

ゲストは、食後酒の様々な商品説明や会話を楽しむうちに、つい彼に質問する。「ジョージはどこの国から来たの?」するとジョージは、「アフリカのガーナね」と答える。これを聞くと、ある年齢以上のゲストの反応は、「ロッテ・ガーナチョコレート~♪(懐かしいCMソング)」となる。すると、すかさずジョージはニコッと白い歯を見せ、「言った人にしかあげないね~」と言いつつ、胸の内ポケットから封を切ったガーナチョコレートの赤い箱を開け、そのゲストにチョコレートを一粒プレゼントするのだ。テーブル全体が一瞬にして和む、極めつけのサービスである。

ディナーハウスにおける、本格的な食事の楽しみ方を食後酒に至るまで伝導するジョージのサービスは、正に食文化の『エデュテイメント』であり、日本ならではのロウリーズとしての付加価値を高めている。

  • 掲載されている本文・画像は、株式会社ワンダーテーブルの許可を得て掲載しています。

フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均

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