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清水均のフードビジネス短信

第15回 バックツーベーシック「お出迎えとお見送り」

厳しい状況の中、7ヵ月連続で前年売上対比113~117%を達成している飲食店があります。鮨と和食の複合店で、客単価は、ランチタイムが1,200円、ディナータイムが5,000円です。責任者として6年が経過する岩木店長が、V字回復を目指しこの1年取り組んできたのは、ランチメニューや会食・宴会メニューの改善や、近隣企業への外商強化よる予約件数の確保、店内ミーティング回数の増加による商品力とサービス力の強化などです。業態と客単価を考慮すれば、これらの対策は特殊なものではなく、優秀な店長であれば誰もが思いつく内容です。

しかし、これらの取り組みの中で、従業員全員を巻き込み、岩木店長が特に徹底・継続していることがあります。それが、「お出迎えとお見送り」です。予約客の到着時間前に、従業員2人以上で店外の暖簾前に整列してお迎えするのです。また、お帰りの際には、同様に従業員2人以上で店外に出て、お客様を送り出すのです。しかも、お客様がコーナーを曲がるか、その姿が人混みに紛れるまで整列を崩しません。

見送られたお客様は、心理として必ず振り返ると言われます。振り返った際に、再度丁寧に感謝のお辞儀をするのです。この間、店内に残った従業員は大変です。店内のお客様へのサービスや料理提供を倍速で行う必要があるからです。鮨職人もカウンターから大回りをしてホール側へ出て、白衣でお見送りやサービスを手伝うことも間々あるのです。

「出迎え3歩、見送り7歩」という言葉がありますが、この店はそれ以上の徹底度です。鮨職人としてのキャリアもあるこの企業の社長は、以前からサービスの基本は、お『出』迎え、お『見』送り(※店外に『出』てお迎えし、お客様を最後まで『見』てお送りする。)と言い続けてきました。また、『行動こそ真実』とも言っています。

岩木店長はこの1年間、日々その意味を体感しています。また、従業員はお客様の反応を肌で感じ、それが継続を支えているのです。さらに商品の品質やサービスレベルに波及効果を発揮しています。この店の従業員の心が一つになっていることを一番感じているのは、利用したお客様であり、ハッピーな余韻が再来店を促しているのです。

フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均

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