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清水均のフードビジネス短信

第1回 攻めの計数「客単価は生産性の基盤」-その6-

新発想で客単価・生産性アップ

伊勢エビ入り小箱
伊勢エビ入り小箱

この写真の活伊勢エビの入った刺身の盛り合わせ、あなたはいくらの値付け(メニュー価格)をするだろう。『伊勢エビ入り小箱』と称されるこのメニュー、なんと売価は980円です。

テーブルに提供された時点で、長崎産の伊勢エビはひげを動かすほど活きがいい。さらに刺身が終わる頃には、テーブルに卓上コンロと職人が仕込んだ味噌入りの出汁(だし)が土鍋仕立たで運ばれて来ます。そして、その場で伊勢エビの頭がみそ汁に仕上げて提供されるのです。これも価格(980円)に含まれているため、顧客にとっての値打ち感はさらに高くなります。

伊勢エビのみそ汁
伊勢エビのみそ汁

沖縄「みたのクリエイト(田野治樹社長)」が展開する繁盛店シリーズの一つに「生け簀の銀次」があります。商品戦略は「他産地消と原価率150%を超える看板商品」による、圧倒的なバリュー作りです。この商品を初め、ほとんどの商品の価格は店で働くアルバイトやフリーターが付けます。その結果、顧客目線でのマーケティング価格が実現されるのです。

「生け簀の銀次」店内写真
「生け簀の銀次」店内写真

『他産地消』とは、田野社長が産み出した言葉です。沖縄に行ったことのある方なら理解できますが、現地でちょっとお洒落に食事やお酒を楽しもうと店を探すと、その大半は、観光地だけに沖縄料理を主体に提供する店となっていまいます。情報化社会の中で、沖縄生まれの人が本当に楽しんで食べたいのは、テレビで見たり、話に聞いたりはしているが、食べたことがない内地(本土)の新鮮で美味しい魚介類や本物の和牛などです。それは内地から転勤したり、定住している人たち(=富裕層)にとっても同様です。それらの内地の食材を、沖縄まで航空運賃を支払ってまで仕入れ、沖縄で消費するのが『他産地消』です。これも見事なマーケティング戦略です。

このお得なメニューの原価率は、優に150%を超えます。時化(しけ)でもあれば、もっと上がってしまいます。しかし、田野社長は調理長に売り続けさせているのです。

例:食材原価1,500円÷売価980円=153% (原価の差額520円)

この例のように、1個売れるたびに店側は520円の損をします。一日に50個出れば、520円×50個=26,000円の損はどうするのか。実はこの金額を田野社長は原価ではなく、販売促進費と捉えているのです。正に発想転換のマーケティング戦略なのです。

このメニューをはじめ、北海道噴火湾産の身厚の帆立貝の炭火焼350円などもあり、お客様のほとんどがオーダーするのです。その結果、他のメニューの値打ち感が増し、ついついオーダー数が増え、粗利益率の高いアルコール類の併買率(一緒に買われる率)も高まります。生産性の基盤である客単価が上がるのです。調理長のメニューミックスの管理もしっかりできており、最終的にはプライム(FL)コストで60%以内に見事に収めています。

実はここには、もう一つ大きな理由があります。競合他店を尻目に、開店直後から予約も含め、閉店まで満席状態が続くのです。その結果、人件費が固定的に使えるためサービスは安定し、さらにレベルアップします。しかも、売上高の絶対額(ボリューム)が確保・拡大されることで、生産性が高く安定しているのです。

正に客単価は生産性の基盤なのです。

  • フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均
掲載されている画像は、株式会社みたのクリエイトの許可を得て掲載しています。
記載されている内容は、掲載日(2011年06月06日)時点のものです。
コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
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