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清水均のフードビジネス短信

第11回 創意を尊びつつよい事は真似ろ

「創意を尊びつつよい事は真似ろ」これは戦後の混乱期に商人道(商人としてのあるべき商売への取り組み姿勢)を手弁当で全国を歩き啓蒙した、故・倉元長治氏が説いた「商売十訓」の教えである。昨年逝去した、天才のスティーブ・ジョブズのように、無から独創的なオリジナル商品やビジネスを創出できる人はごく稀である。一見新しく見えるようでも、実際には前にあった商品やビジネスにヒントを得て、真似る事から創り出したものが多い。だからこそ、元になった商品やビジネスを創出した人の『創意を尊ぶ』必要がある。

最近各地に創意を尊ばず、表面だけを平気で真似る業態が目につく。今に始まった事ではないが、最近の真似は節操のなさ、品位の無さが目立つ。沖縄の若手経営者が創出した業態の店名や主力商品を、そっくりそのまま大手居酒屋企業がパクって多店化している。「日本語俗語辞書」によれば、“パクる”は、「本来盗むや逮捕する」という意味であり、真似るとは本質的に異なる。

著名なバーガー店のパクりも誕生している。店頭のデザインイメージや店内の壁紙、シートの色までそっくり。商品名もアレンジを利かせているが、そっくり。驚くのは未だ数店舗で、オリジナル商品のストラップやマグカップ、Tシャツまでもパクっているのだ。

東海地方に、日本古来のヘルシー食品の名産地がある。その食品をテーマに22年かけて地域に根ざした繁盛店があり、『安全で身体に良い食』を、手づくりの美味しさを守り、商品開発を続けている。その本店の直近にそっくりな店が昨年末に出店した。

実はこれら3例ともオリジナル店のファン達が「紛らわしい・本物でない・なんとかして……」と半ば怒りに近いメールやツイッターを交信しているのだ。お客様はごまかせない。いくら資本力があっても、同じような店舗デザインや商品、店名を使おうとも、創意を尊ばない限り繁盛の継続は無いと判定する。

その理由は、なぜそれらの商品が誕生したか、なぜそのような店舗デザイン、キッチンシステムになっているかなど、表面だけを真似しても理解できないからである。とあるローカルのファミリーレストラン・チェーンがあった。最初の店を作る際に、当時の大手ナショナルチェーンが使っていた建設業者、厨房業者、店内の照明やインテリアデザイン会社を起用した。結果的にイニシャルコストは2~3割アップしたが、真似る事に徹底した。その経営者は、結果的に見れば安いものですと言う。それはテーブルのサイズや調理システム、洗い場の仕組みに至るまで、使い込んで行くうちにその理由が明確になり、創意に満ちたノウハウとシステムの集大成だと云うのだ。

真似ることは学ぶ事であり、重要である。しかし、そこに創意に対する尊ぶ姿勢が無い限り、パクりにしかならない。盗んだものは有り難みが分からず、結果的に次のパクり相手を捜すしかない。

※資料 清水 均著「フードサービス攻めのマネジメント」商業界より引用
※資料 清水 均著「フードサービス攻めのマネジメント」商業界より引用

  • フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均
記載されている内容は、掲載日(2012年2月8日)時点のものです。
コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
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