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神谷豊明のワインコラム

第18回 貴腐ワインとアイスワイン

貴腐ワインとアイスワイン。どちらとも高貴な甘さがあり、フォアグラやブルーチーズ、フルーツなどと最高のマリアージュ(相性)を奏でる事のできるワインです。ワインビギナーの方からワイン好きの方まで幅広く楽しむことが出来るワインでもあります。

では、この2つのワインの違いは何でしょうか?
今回はこれらのワインについてお話したいと思います。

貴腐ワインとアイスワインの違い

貴腐ワインは、”きふワイン”と読みます。貴腐ワインとは、名前の通り「高貴に腐る」ブドウから作られるワインです。主な産地はフランス・ボルドー地方のソーテルヌ地区。ドイツのライン地方、モーゼル地方のトロッケンベーレンアウスレーゼ。そして世界最初の貴腐ワインであるハンガリーのトカイ地方です。
貴腐ワインとは、ブドウの表面に「ボトリティス・シネレア菌」という特殊な菌が付き、「貴腐現象」を起こしたブドウから造られます。
秋の天候が安定した年に、霧と共に運ばれたこの菌が完熟した房に付くと、ぶどうの果皮のロウ質が壊され、果汁の水分が蒸発して糖分が著しく濃縮されて行きます。この結果、糖度が40~60度にも上がり(通常は20度程度)、しなびた干しブドウ状の貴腐ブドウが誕生します。

しかし、貴腐化の途中で雨が続けば、真の腐敗に転落するリスクがあり、また干しブドウ状のため得られる果汁が極端に少なく、さらに糖度の高さから醸造にも高度な技術が必要とされ、どの蔵元でも生産できる物ではありません。
またこの条件が整っている産地は少なく、霧の発生しやすい川の流れが蛇行している沿岸が最適な場所とされています。

一方アイスワインは、極端に収穫時期を遅らせ厳寒期の訪れと共に凍りついたブドウを収穫し、溶ける前に氷と果汁を分離して造ります。水分が凍ってしまっているため搾った果汁はとても糖度が高く、仕上がったワインは芸術品のような味わいになります。

自然と人の技による芸術品

貴腐ワインとアイスワインは気象条件とブドウの出来、生産地区の地形特性、その全ての条件がそろったときのみに出来る、自然と人の技が合わさった芸術品です。

味わいは、貴腐ワインは貴腐香と呼ばれる柑橘と醗酵の香りが混ざったような独特な貴賓ある香りを持ち、適度な酸味がその甘味を上品にしています。
一方アイスワインは、レモンティーのような果汁の酸味が爽やかで、程よくまろやかな甘味が印象的です。

どちらともサービス方法は、小振りなグラスでワインを良く冷やして注ぎます。温度が高いと甘味が強く出てしまい味のバランスが崩れてしまいます。

食後にデザート・チーズと共に味わったり、ビスコッティーを浸して食べたりして楽しまれると良いと思います。

-次号へ続く-

シニアソムリエ 神谷 豊明

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