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神谷豊明のワインコラム
第14回 Portugal ポルトガル

独特なワインを作る産地、ポルトガル
酒精強化ワインのポートワイン、マディラ酒が代表的
歴史
ポルトガルの国土面積は日本の約1/4。しかし、ワイン生産量は世界6位です。生産量の9割が輸出、そのうち6割がイギリス、その他ヨーロッパ各国に輸出されています。
ポルトガル語でワインはVinho(ヴィーニョ)。ヴィーニョなくしてこの国は語れないほど、ポルトガルの人たちはワインを愛しています。ワインづくりの歴史はきわめて古く、起源はローマ時代にまでさかのぼるといわれています。ちなみに戦国時代に日本に渡来した南蛮酒は「珍陀(ちんた)」と呼ばれていましたが、これはポルトガル語の赤ワイン「tinto(ティント)」が転じたものとされています。
ポルトガルは国土が南北に長く、地方によって気候や土壌が異なるため、個性豊かなワインが数多く生まれています。現在は19の原産地管理呼称地域(D.O.C.)があって、それぞれのD.O.C.では栽培されるぶどうの品種や製造法が規定され、厳しい品質管理のもとに良質のワインが産出されています。代表的な地域はドウロ、ダン、バイラーダ、アレンテージョなどですが、その他の地方にも評価の高いワインが数多くあります。また、ポートワインやマディラワイン、ヴィーニョ・ヴェルデなどはポルトガル独自のワインで、高い香りと気品ある味わいで、世界の人々に愛されています。
通常「肉には赤ワイン、魚には白ワイン」などといわれていますが、こんな形式にとらわれる必要はまったくありません。たとえばポルトガルでは、最もポピュラーなバカリャオ(干たら)の料理は赤ワインとともに食されることが好まれています。日本もポルトガルもシーフードの大好きな国ですから、ポルトガルのワインはきっと口に合うと思います。情熱の国ポルトガルが育んだ珠玉のワインの数々を、ぜひ一度お試しください。
ポートワイン
日本でおなじみの「赤玉ポートワイン」ですが、ポルトガルからのクレームで「赤玉スイートワイン」という名に変更されたことは有名な話です。ポートワインというのは、甘口の酒精強化ワインというジャンルのワインで、輝くルビー色、甘み、香り、コクが心地よく調和した気品あふれる味わいから、”ポルトガルの宝石”と称されています。
ポートワインは、日本ではまだ馴染みが薄いですが、イギリスをはじめとするヨーロッパでは広く親しまれているワインのひとつです。「ポート」の名は、ポルトガル北部を流れるドウロ河上流で造られ、ポート港から出荷されることにちなんで名づけられています。
ポートワインは発酵途中にアルコール度数77度のブランデーを加えて発酵を止めたフォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)。この製法によって、味に独特の甘みとコクが生まれ、ワインの保存性を高めています。赤ワインと白ワインがあり、主に赤は食後のデザートワインやナイトキャップ(寝酒)として、白はアペリティフとしていただきます。ポートワインは、一度封を切っても風味が落ちないので、その味わいをゆっくりと楽しめるのが魅力です。
- ポートワインの種類
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- 1. ルビーポート
- 最もよく目にする赤いポートワインで、ルビーのような美しい色のワインです。甘口で香りが豊かです。普通、ルビーポートは樽で熟成して3年以内のものですが、中には「ヴィンテージポート」というものがあります。良質のブドウが出来た年にポートワイン・インスティチュートの承認を受けて、樽で2年間熟成後、ろ過せずに直接瓶詰めしたポートワインです。これはボトル内で熟成が進みますが、非常に長命で100年以上楽しむことができるといわれています。ただ、飲む時には澱が混じらないようにデキャンタする必要があります。
- 2. トゥニーポート
- ルビーポートを樽で長く熟成させると、ワインの赤色が失われて黄褐色になります。「トゥニー」というのは英語で「黄褐色」という意味となりますので、色から呼んだ名前になります。通常は3~4年樽で熟成させます。10年以上、時には40年以上熟成することもあるようですが、これは特にエイジド・トゥニーポートと呼ばれて珍重されているということです。
- 3. ホワイトポート
- 白ブドウ品種から造られるポートワインです。3~5年熟成させるということです。ただ、造られる量が非常に少ないので、ほとんどがポルトガル国内で消費されてしまうため、日本では手に入りにくい状態だそうです。
マディラ
大西洋に浮かぶ、マディラ島で生まれるワインで、その造り方は、ワインを仕込んでから酒精強化して、高温の中で熟成されたワインです。その熟成によって、独特の上質な老酒のような甘いワインが生まれます。マディラの急峻な斜面で、温かな気候の中で生まれた葡萄本来の甘さで、酒精強化するとき、そのブランデーのアルコールに酵母が発酵を止める為に残った甘味がワインの甘みとなります。
島の面積740km2のうち、葡萄畑の広さは2000ha。9軒あると言われるメーカーの製品全部を集めても、その生産量は年間で700万本。ポートワインなら1社の量です。その生産量は少量なのですが、世界三大酒精強化ワインの一つとして数えられています。
以前、シャンパンが普及する19世紀末までは、乾杯にはマディラが使われていました。アメリカが独立宣言のパーティーを催したときも、ペリーが欧米人として初めて日本に渡航して浦賀奉行を接待したときも、マディラが注がれました。シェークスピアが「ヘンリーIV世」の中で「マディラワインのためなら死んでもいい」とも記されています。歴史さえもが、その希少性から憧れをもたれ、現在に至るワインなのです。
食前・食後酒として楽しめるポルトガルワイン。
お店に1本は置いておきたいアイテムです。
シニアソムリエ 神谷 豊明
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