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神谷豊明のワインコラム

第19回 Argentine アルゼンチン

歴史

アルゼンチンの葡萄栽培とワイン醸造は、16世紀、スペインによる米州大陸征服の時代から始まります。そして、20世紀半ば以降、栽培方法および醸造技術が大きく進歩を遂げ、アンデス山脈の盆地を中心に大規模に発展しました。

南緯22度から42度までのアンデス山脈沿いに葡萄栽培の適地が広がっています。この地は、澄みきった冬と日差しがさんさんと降り注ぐ夏の季節がはっきり分かれており、適度な降雨量に、河川、地下水を利用した灌漑施設が整っているので、最適地といえます。こうした環境が、葡萄の品質保持と病害防止に大きく貢献しています。

近年、国内市場における高級ワインの消費増加や輸出増加によって、外国資本による投資が積極的に行われ、高級ワイン用の葡萄栽培面積が増加しています。輸出自体は、年々、金額的、量的にも増大しており、更には、ワイナリーの輸出志向によって、新たなワインの登場、ワインブランドの多様化が急速に進んでいます。

味わいの特長

アルゼンチンのワインは、概して香り・色ともに濃く力強いワインですが、優雅かつ繊細なワインでもあります。

アルゼンチンにおいて特徴的な品種であるマルベック種(黒葡萄)は、実はフランスのボルドー近郊産で、フランスに起源を発するものです。しかし、ヨーロッパでは生産量が少なく、アルゼンチンで花開いた品種であると言えます。アルゼンチンは「マルベックを生産するには最適な土地である」と世界的に評価されており、アルゼンチンでは、ワイン生産の90%はランド・オブ・マルベックと呼ばれるメンドーサ地区に集中しています。同地域は乾燥・冷涼な気候なので、葡萄の栽培も1,200~1,500mと比較的標高が高い地帯で行われており、エレガントなワインが生産されます。

アルゼンチンは、パンパでの牧畜に代表される肉食がメインです。アルゼンチンにはスペインやイタリアからの移民が多いが、当地では「地中海ダイエット」という言葉があるほど、パスタを中心とした炭水化物中心のバランスのいい食文化が根付いていますが、これとは対照的で、肉食の傾向が非常に強い土地で造られており肉と一緒に飲まれるものであるということで、肉料理に合わせやすいと私は思います。
また、チリワインと比較すると、その成り立ちからして大きな隔たりがあります。アルゼンチンは現在でもワインの大量消費国ですが、それに対してチリは自国でのワイン消費はそれほど多くなく、世界的によく知られ、かつ売れる品種であるシャルドネ種やカベルネ種のワインを生産する欧米資本が入り、マーケットを非常に強く意識したワイン造りを行っている国であります。
そのような「売れる」ことを最優先したチリワインは値段が安く品質もそれなりで、食文化と結びついたというようなものではないという点でアルゼンチン・ワインとは一線を画しています。

メンドーサ地区はもともと乾燥した砂漠に近い地帯で、虫がいない。「そもそもこんなところでワイン造りが可能なのか?」と思っていたところ、実はアンデスの雪解け水を利用した灌漑設備が整っており、自然とオーガニックのワインを生産できるということが特長の国だと思います。

アルゼンチンの葡萄栽培量は世界5位ということから、輸出環境が整う事によってシンデレラ的なワインが登場する可能性が高い国で今後注目する産地だと思います。

「肉料理には、アルゼンチンワイン」
いつかそう呼ばれる日が来るでしょう・・・

シニアソムリエ 神谷 豊明

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