飲酒に対する社会通念が厳しさを増す中で、一部の飲食店は業態の転換か撤退を考えざるを得ないでしょう。具体的には、アルコールの販売構成比率が35%以上で、この2ヵ月間の売上高が前年対比25%以上ダウンした店です。
このような店は、業態転換による食事やデザートといった売上構成比率の改善か撤退以外、今のところ対応策は見あたりません。
問題はアルコールの販売構成比率が10〜20%前後の、和洋中の業態店です。
美味しく食事をするためにお酒類を飲むといった感のある、50坪以上でディナータイムの客単価3,500円以上の、専門性のある調理師のいる飲食店です。これらの店では、お客様自身も困惑しています。その理由はいくら美味しい馴染みの店でも、マイカーで手軽に行けなくなったからです。かといってタクシーで行くには、予算的に辛いのです。
ここにチャンスがあると考えます。
これらの業態はもう一度、自店の徒歩20分圏内のお客様を掘り起こし、地域密着・個客密着を促進しませんか、という提案です。
具体的には、例えば「このパンフレットが届いた範囲のお客様は、当店まで歩いて15分以内にお越しになれます」、「1組4名以内、5,000円以上お食事のお客様にはワンメーター分のタクシーチケットを差し上げます」などといった事が考えられます。
パンフレットは『美味しい料理とお酒がゆっくりと楽しめるお店です』といったコンセプトで旬の料理や気の利いたお酒類、くつろげる店内の雰囲気、入り口を主体としたファサード(店舗正面の外観)、分かりやすい地図などをしっかりと入れるのです。思い切って高額のクーポン券を入れるのもよいでしょう。
これらをきちんとした封筒に入れ、ドアコール(直接訪問によるご案内)をするのです。開発後20年以上が経過した中高年主体の住宅街などが徒歩15分圏内にあれば、和洋中の各種業態にかかわらずチャンスではないでしょうか。
時流や環境の変化に対応するだけでなく、新たなビジネスチャンスとすることは大切な戦略の一つです。試してみる価値は、大いにあると思いませんか。
フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均