迷えるナショナルチェーン(シリーズ2):小さな店
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清水均のフードビジネス短信(2007年度)
第8回

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  • 迷えるナショナルチェーン  −2− (3回連載)

 
  • 小さな店

 
        小さな店であることを恥じることはないよ
        その小さな店に
        人の心の美しさを一杯に満たそうよ

  この詩はよく知っておられる方も多いと思います。戦前戦後を通し、あるべき商人としての正しい道を説いた商業経営指導家である故・岡田徹先生の代表作です。この詩を創業から年商380億円を超える現在に至るまで、経営思想の根幹としている著名なハンバーグのナショナルチェーンがあります。

  原点は東北の地方都市でスタートした本当に小さな店でした。小さな店だから色々できません。その結果、ハンバーガー(後にハンバーグに変更)とサラダの専門店としてスタートしたのです。現在、フランチャイズ・システムを展開する自社の業態をハンバーグ限定のファミリーレストランと呼んでいます。

  このチェーンではトップが「ちがい化」と説明する、新鮮で美味しく安心・安全な合い挽き肉の使用やソースのオリジナリティ、業界ナンバーワンと云われる焼き上がりでのハンバーグの芯温の高さなどがあります。もちろん、それに最初の詩で取り上げた人(お客様だけでなく従業員相互)の心への配慮が加味されているのです。

  牛丼の専門店やカレーの専門店でスタートし、同様にフランチャイズ・システムを展開してナショナルチェーンになった企業もあります。ところが、現在これらのチェーンの一部で共通に起きている問題があります。味のバラツキや提供時間の遅れです。原因はメニューの増加によるオペレーションの複雑化です。

  初めは小さな店だったナショナルチェーンの多くは、大きくなる過程でシステム化を図って来ました。しかし、その代償として失ったものも多いのです。それは飲食店の原点とも云えるパパママ食堂に代表される「味へのこだわり」と「心のふれあい」ではないでしょうか。

  どんなに大きくなっても小さな店だからこそ「できること」や「なすべきこと」を、もう一度見直す必要があるようです。専門店とクイックカジュアル(フードビジネス短信2005年度第25.26回「本格専門店時代の到来とクイックカジュアル」参照)の時代に、さらに人の心の美しさを一杯に満たすことができる店づくりを目指しましょう。


  (次回に続く)

フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均

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