ワインの最大の特徴は、ヴィンテージ(収穫年)が記載されていることです。
同じ銘柄でも、この収穫年が価格・味わいの違いを作り、他のお酒とは異なった楽しみを生み出しています。
近年、ヴィンテージでの「味わい」の違い少なくなってきています。
フランスでは、1960年代くらいまでは、昔から植えられている葡萄を昔ながらの方法で醸造していました。
1970年代には生産者の間で、ワイン造りには醸造が重要、その技術をもっと改良すべきだという声が高まります。次々と新しい醸造設備が開発され、言ってみればワインの工業化と呼んでもよい時代になりました。
そして1980年代に入ると、生産者の醸造設備のレベルも高くなり、どのワインも概ね一定以上の水準となります。すると今度は、ワインは農産物であるという原点に立ち戻り、栽培技術の改良が始まります。葡萄の質と栽培のレベルが重要だという認識に変わってくるのです。
ヴィンテージは良いから価格が高い、味わいが素晴らしい等、プロからアマチュアまでワインに関わる人々を大いに興奮させていますが、実際のところ、昔ほどヴィンテージに大きな違いはなくなってきています。それは栽培と醸造の両面に大きな改革があったからです。
もちろん、気象条件は毎年一定ではありません。
しかし、今日では「技術」である程度ワインのバランスを整えることが可能で、調節できるようになったことで、大きな「ハズレ年」を防いでいます。
価格面において、需要によって大きく高騰したり、下落したりする事実は存在します。ワインの中身より市場価値によって価格が変わるといった、ちょっと株式相場に似た様子で、最近のソムリエはその目利きが大切になっています。
「今買いなのか?もう少し待つべきか?」
昨年、ワイン市場では中国の需要が高まり、以前まで1万5000円で仕入れが可能だったワインが、市場で品薄になったため、8万円になる程高騰しています。
おそらく、今後ますますワインの購入が難しい時期に入ってくるでしょう。特に高額商品においては。
-次号へ続く-
シニアソムリエ 神谷 豊明