古酒(ヴィンテージワイン)は、熟成によってその味わいが繊細になりますが、赤ワインには年を経ることによって色素が集まり“澱”(おり)という沈殿物も発生します。その澱は、体に害は無いものの、舌触りをザラザラとさせワインの味わいの邪魔をしてしまいます。そのため、私達ソムリエはワイン保存の段階から澱を取り除く作業をしています。
輸入される古酒は、温度管理されたコンテナ船で揺られながら、何ヶ月もかけて日本にやってきて、さらに日本国内でもトラックなどで運ばれます。当然、レストランのセラーに届いた古酒は、瓶の中のワイン全体に澱が舞った状態になっています。
澱を取り除くためにまず最初に行う作業は、1ヶ月ほど瓶を立てて保存することです。瓶を立てることによって、全ての澱を瓶底に集めます。
その後、ラベルを上に向け瓶を静かに寝かせます。そうすることによって澱が瓶底の一ヶ所に寄せられます。この一連の作業を「澱を落とす」と呼びます。
ワインがオーダーされたら、お客様に澱があることを説明しワインをデキャンタします。
デキャンタとは、ワインを別の器に移す事を言い、その目的は
1 澱を取り除く
2 ワインを空気に触れさせまろやかにさせる
3 ワインの温度をあげ、味わいのバランスを整える
4 ワインサービスの演出をする
などがあります。
デキャンタは、瓶の肩の部分を下からロウソクなどで光をあて、中身の状態を見やすくし、器にワインを静かに移していきます。
ソムリエ用語でその器のこともデキャンタと呼んでいます。
ワインを移していく際に注意する事は「ゆっくり移していく」ことです。そうすることにより澱が再度舞うことを防ぎ、できるだけ多くの上澄みワインを取ることを可能にします。ワインを移し終えた時、瓶の底に残る澱の混ざったワインが1cm程であれば良い作業だったといえます。
一方、デキャンタは若くて渋い赤ワインにも有効です。
渋いワインは空気に触れることによって酸化し、その渋味がまろやかになる性質があります。
お客様の目の前でデキャンタすることは、お客様に楽しんで頂き、また優雅な時間の演出にもなります。若いワインでも、古酒でも、デキャンタをしてワインをより良い状態で楽しんでいただけるお店が増えると消費量も増えていくのではと思います。
-次号へ続く-