フランスの80%のテーブルワインを生産する産地「ラングドック・ルーション」
歴史
ラングドック地方の葡萄栽培は古代から行われており、ギリシャやローマの植民地時代から数えれば、
実に2,700年余りもの歴史を持ちます。南のルーション地方と合わせて、合計30万haもの畑があり、そこ
からフランスワイン全体の何と40%(テーブルワインのクラスは80%)ものワインが造られています。
もちろんフランス最大のワイン生産地帯であり、フランス国内のみならず、世界中で「ミディのワイン」の
愛称で親しまれています。
その反面、「量」を追求するあまり、「質」についてはほとんど省みる事がなく、この地方で「質」が重視
されるようになったのは、つい最近になってからです。
1960年ごろを境に、多産品種の葡萄は引き抜かれ、高貴品種への植え替え、また他作物への転換な
どドラスティックな改革が行われてきました。その結果1990年代には「フランスの新大陸」と呼ばれるよ
うに、ヴァン・ド・セパージュ(新大陸で言うヴァラエタル・ワイン)を中心とした、品質重視のスタイルへ
とシフトしました。
こうして質的な向上は果たしたものの、ラングドックとしての明確なスタイルの確立は遅れており、多彩
なタイプのワインが混在しています。ラングドック地方全体のエリアの広さ、それに伴うテロワールの多
様性、AOCで認可されている葡萄品種の多さ、さらにその葡萄品種のどれを使うかはワイナリーやワイ
ンによってバラバラで全く統一されていないなど、まだまだ解決すべき問題は山積しています。
生産者ごとの「自由」なワイン造りは、良く言えば「バラエティの広さ」、悪く言えば「分かりにくさ」につな
がり、それを今後どのように集約し、産地として統一したスタイルを確立するかは、生産者の地域独自性
への意志次第と言えます。
【AOC】
フランスの農業製品、ワイン、チーズ、バターなどに対して与えられる認証
アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレの略
味わい
成功しているヴァン・ド・ペイ(地酒)クラスのワインは品種表示があり、赤ワインでは、カベルネ・ソーヴィ
ニョン、メルロー。白ワインでは、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブランなどが高品質で年々生産量が増え
ています。味わいも地中海性気候の温和な気候が、果実の豊かさを広げ、酸味の柔らかい円やかなワ
インに仕上げていきます。また南の産地特有のグルナッシュやシラーなどはジューシーな味わいで、ラ
ングドックの気候の特徴を充分に表現しています。しかしこれらの品種は減少の傾向にあります。
近年の流行
この地域で最も注目するワインは、ミュスカ種によって造られる天然甘口ワイン(VDN)です。
乾燥した気候で葡萄を完熟させ、豊富な糖分を持つこのワインは、メロンなどと相性が良く、食前酒やブ
ルーチーズやチョコレートなどと食後にも楽しめます。美味しく、私達ソムリエの間でも人気のあるワイン
です。
品種改善が始まったワイン産地、ラングドック・ルーション。
今後、どんなシンデレラワインが登場するか、目が離せない産地です。